2022.4.5 国際卓越研究大学法案に対する附帯決議
今国会(第208回通常国会)で国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律が成立しましたが、同法には附帯決議があります。以下紹介します。
第208回国会閣法第35号 附帯決議(衆議院)
国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案に対する附帯決議(衆議院 2022.4)
政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一 基本方針の策定における総合科学技術・イノベーション会議等の意見聴取に当たっては、多様な分野の研究者からの意見を十分に反映するとともに議事の内容を公表するなど、透明性を確保すること。また、国際卓越研究大学の認定、計画の認可に当たっては、大学の自治を堅持するとともに、早期に研究成果の活用が見込まれやすい応用研究が優先されることがないよう、研究成果の活用までに時間のかかることが多いものの人類が新たな知識を得る観点からも大きな意義を持つ基礎研究等を含め、研究の多様性を確保すること。
二 国際卓越研究大学が欧米主要大学の運営方法をいたずらに模倣し、教育研究内容の充実に関係なく、単に大学の財政基盤の強化を目的とする授業料等の増額等を行うことで、学生の教育機会に経済的な制限がかかるような事態を招くことがないようにすること。
三 大学において任期を付さない、安定的な身分の研究者及び正規雇用職員を増やし、研究力の強化を図るため、大学ファンドによる支援に関わらず、人件費の基礎となる国立大学法人運営費交付金や私立大学等経常費補助金等の基盤的経費を確実に措置すること。
四 政府は、我が国の大学全体の研究力の底上げを図るため、個々の大学が、知的蓄積や地域の実情に応じた研究独自色を発揮し、研究大学として自らの強みや特色を効果的に伸ばせるよう、国際卓越研究大学以外、特に地方の大学への支援に十分配慮することとし、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの大幅拡充等により、十分な予算を確保すること。
五 政府は、我が国の研究者全体の研究力の向上を図るため、個々の研究者がそれぞれの研究環境において多様かつ独創的な研究に継続的かつ発展的に取り組めるよう、科学研究費助成事業や特別研究員制度等の研究者に対する支援策を拡充すること。
六 高等教育の果たす役割の重要性に鑑み、これまで措置されてきた国立大学法人運営費交付金等の基盤的経費や競争的研究費などの大学への資金が十分に確保されるよう、引き続き大学の長期的、安定的な運営及び研究基盤構築のための財政措置を講ずること。
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第208回国会閣法第35号 附帯決議 (参議院)
国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案に対する 附帯決議(参議院2022.5.17)
令和四年五月十七日 参議院文教科学委員会
政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一、基本方針の策定における総合科学技術・イノベーション会議等の意見聴取に当たっては、多様な分野の 研究者からの意見を十分に反映するとともに議事の内容を公表するなど、透明性を確保すること。また、 国際卓越研究大学の認定、計画の認可に当たっては、大学の自治を堅持するとともに、早期に研究成果の 活用が見込まれやすい応用研究が優先されることがないよう、研究成果の活用までに時間のかかることが 多いものの人類が新たな知識を得る観点からも大きな意義を持つ基礎研究等を含め、研究の多様性を確保 すること。
二、国際卓越研究大学が欧米主要大学の運営方法をいたずらに模倣し、教育研究内容の充実に関係なく、単 に大学の財政基盤の強化を目的とする授業料等の増額等を行うことで、学生の教育機会に経済的な制限が かかるような事態を招くことがないようにすること。
三、大学において任期を付さない、安定的な身分の研究者及び正規雇用職員を増やし、研究力の強化を図る ため、大学ファンドによる支援に関わらず、人件費の基礎となる国立大学法人運営費交付金や私立大学等 経常費補助金等の基盤的経費を確実に措置すること。
四、政府は、我が国の大学全体の研究力の底上げを図るため、個々の大学が、知的蓄積や地域の実情に応じ た研究独自色を発揮し、研究大学として自らの強みや特色を効果的に伸ばせるよう、国際卓越研究大学以 外、特に地方の大学への支援に十分配慮することとし、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ の大幅拡充等により、十分な予算を確保すること。
五、政府は、我が国の研究者全体の研究力の向上を図るため、個々の研究者がそれぞれの研究環境において 多様かつ独創的な研究に継続的かつ発展的に取り組めるよう、科学研究費助成事業や特別研究員制度等の 研究者に対する支援策を拡充すること。
六、我が国の科学技術の水準を長期的に向上させるには、将来を担う若手研究者の確保・育成が重要である ことから、博士後期課程に在籍する学生のうち生活費相当額を受給する者の割合の更なる引上げを進める とともに、修士課程に在籍する学生に対する経済的支援の在り方についても検討すること。
七、高等教育の果たす役割の重要性に鑑み、これまで措置されてきた国立大学法人運営費交付金等の基盤的 経費や競争的研究費などの大学への資金が十分に確保されるよう、引き続き大学の長期的、安定的な運営 及び研究基盤構築のための財政措置を講ずること。
八、第四条第三項第四号に規定する「民間事業者との連携協力のための体制」、同項第五号に規定する「知 的財産権の取得及び活用を行う体制」について、文部科学大臣が認定を行う基準の策定及び当該体制の運
営に当たっては、憲法で保障されている学問の自由に基づいて、研究成果の公開性と公共性という原理を 最大限に尊重すること。
右決議する。